輸入車の板金見積が難しい理由と進め方|指数と工数、部品価格の調べ方
輸入車の板金見積は、国産車と同じ手順で始めても途中で止まりやすい仕事です。指数テーブルに車種が見つからない、部品の品番と価格がすぐに出ない、作業時間の根拠を保険会社にどう示すか迷う、という3つの壁が重なるからです。この記事では、輸入車の板金見積を見積担当が進めるときの手順を、自研センター、コグニビジョン、ブロードリーフ、全国技術アジャスター協会、BSRweb(プロトリオス)の公式情報で確かめた範囲でまとめます。製品の細かな紹介は姉妹サイトに任せ、ここでは見積の実務で何をどの順に確認するかに絞りました。
この記事で確認した一次情報
- 指数とは(株式会社自研センター)指数の定義、国産車と輸入車の調査
- アセスプロⅡ(コグニビジョン株式会社)輸入車、トラック、二輪車の見積、類似車種の参照、データ更新
- アセスプロII(全国技術アジャスター協会)収録データ、工数の任意登録
- BK.NS3(株式会社ブロードリーフ)外車指数オプション、新素材の色分け表示
- 輸入車等、見積りデータが手に入らない車ってどうする?(BSRweb)指数がない輸入車と部品価格の考え方
輸入車の板金見積が難しい3つの理由
輸入車の板金見積が難しいのは、作業時間の根拠になる指数が車種によって無いこと、部品の品番と価格をすぐに確かめにくいこと、そしてその2つの穴をどう埋めたかを協定で説明する必要があることの3つが重なるためです。自研センターは指数を「事故車修理における標準的な修理作業時間を示したもの」と定義し、主要な国産車と輸入車の構造調査や修理作業の実態調査を行っています。ただし、すべての輸入車に指数があるわけではありません。プロトリオスが運営するBSRwebのQ&Aでは「一部の輸入車については、指数テーブルに標準作業指数が設定されています」と回答されています。部品価格についても、同じ回答の中で「価格のバラツキが大きいため、部品商などに確認しましょう」とされています。国産車なら板金見積システムの中で完結する作業の一部が、輸入車では外部への確認作業になるわけです。
| 見積の要素 | 国産車で多い状態 | 輸入車で起きやすいこと |
|---|---|---|
| 作業時間(指数) | 車種別の指数テーブルから拾える | 指数が設定されていない車種がある |
| 部品の品番と価格 | 見積システムのデータから選べる | 価格のバラツキが大きく、取引先への確認が要る |
| 協定での説明 | 指数の数値を示せば話が早い | 参考にした車種や資料を示して根拠を説明する |
輸入車の板金見積の進め方(受付から協定まで)
輸入車の板金見積は、指数があるかどうかを最初に確かめ、無ければどの根拠で作業時間を出すかを決めてから部品と塗装を拾う、という順で進めると手戻りが少なくなります。国産車と同じ感覚で損傷部位から入力を始めると、途中で指数が無いことに気づいて、作業時間の出し方を後から考え直すことになりがちです。受付の段階で車台番号やカラーコード、年式を正確に控え、見積システムで車種が選べるかを確認します。指数がある車種ならそのまま見積を作り、無い車種なら類似車種の指数を参照するか、自社で登録した工数を使うか、ミッチェル日本語版のような外部資料を使うかを決めます。保険修理なら、この段階でアジャスターに作業時間の根拠を相談しておくと、協定で揉めにくくなります。
車両情報を正確に控える
車台番号、年式、グレード、カラーコードを記録し、損傷部位を写真で残します。輸入車は同じ車名でも年式や仕様で部品が違うことがあるため、ここが後の部品確認の土台になります。
見積システムで指数の有無を確認する
使っている板金見積システムで車種を選べるか、指数が収録されているかを確かめます。BK.NS3は外車指数をオプションで使えると公式サイトに書かれています。
指数が無い場合の根拠を決める
類似車種の指数を参照する、自社の工数を登録して使う、ミッチェル日本語版を参考にする、のいずれかを選び、どれを使ったかを見積の備考に残します。
部品の品番と価格を確かめる
部品図で部品を特定したら、品番と価格は部品商や輸入元など発注予定の取引先で確認します。
塗装と付随作業を拾う
塗色と塗膜の種類を確認し、補修塗装の計算をします。付随作業の漏れを見積システムの確認機能で点検します。
保険修理なら協定で根拠を示す
参照した車種や資料、部品の確認先を示して、アジャスターと作業時間と部品価格をすり合わせます。
事故車の見積全体の流れは事故車の修理見積の流れで、協定の進め方は保険修理の協定とはで詳しく扱っています。
指数のない輸入車の作業時間の出し方
指数のない輸入車の作業時間は、同じクラスの国産車や類似車種の指数を参考にする方法、自社で工数を登録して使う方法、ミッチェル日本語版を参考にする方法の3つで出すのが実務の選択肢です。BSRwebのQ&Aでは、標準作業指数の設定が無い車種は「基本的には同クラスの国産車の作業指数を参考にします」と回答し、輸入車の作業工数には米国ミッチェル社の日本語版を参考にする方法もあるとしています。コグニビジョンのアセスプロⅡは、指数や工数がない車種について、類似車種の指数や工数を参考値としてコピーして見積を作れると公式サイトで説明しています。全国技術アジャスター協会のページでは、アセスプロⅡには工数の任意登録(カスタマイズ)機能があり、指数や工数のない輸入車やトラックはユーザー独自の工数を任意に登録して使えると書かれています。どの方法でも、参考にした根拠を見積の中で示せる形にしておくことが大切です。
| 方法 | 公式情報で確認できたこと | 見積で残しておくこと |
|---|---|---|
| 類似車種・同クラス国産車の指数を参照 | BSRwebのQ&Aで基本的な方法として回答。アセスプロⅡは類似車種の指数や工数を参考値としてコピーできる | 参照した車種名と、その車種を選んだ理由 |
| 自社で工数を登録して使う | アセスプロⅡの工数の任意登録機能(全国技術アジャスター協会のページ) | 登録した工数の出どころ(実測、過去の協定実績など) |
| ミッチェル日本語版を参考にする | 輸入車の修理・鈑金見積りに特化した標準作業時間マニュアル(ブロードリーフの2018年の告知) | 参照した版と該当ページ |
| 外車指数を使う | BK.NS3で外車指数がオプションで使用可能 | オプション契約の有無と収録車種 |
BK.NS3の公式ページには、以前は指数の提供されていない外国車を選んだ場合に参照型式を設定して伝票を作る必要があったが、外車指数が使えるようになり事務処理がスムーズになった、という趣旨の説明があります。外車指数に収録されている車種の範囲は、ブロードリーフに確認してください。
輸入車の部品価格と品番の確認
輸入車の部品価格は、見積システムのデータだけで確定させず、発注予定の取引先で品番と価格を確かめてから見積に載せるのが安全です。BSRwebのQ&Aは、輸入車の部品価格について「価格のバラツキが大きいため、部品商などに確認しましょう」と回答しています。部品の特定には部品図が役立ちます。全国技術アジャスター協会のページによると、アセスプロⅡはアジャスターパーツガイドの部品図を画面上に表示するため、損傷した部品を画面上で選べます。一方、国産車向けのコグニセブンで〔汎用〕車種を使って輸入車の見積を作る場合、コグニビジョンのFAQは、汎用データは一般的な部品名称のみの表示になるため部品価格と部品番号は手入力が必要と案内しています。どちらの場合も、確認した日付と確認先を見積の備考に残しておくと、部品が届いてから価格が違っていたときにすぐ追えます。
- 部品図で部品を特定し、品番を控える(年式や仕様違いに注意する)。
- 発注予定の取引先で価格と納期を確認する。
- 確認した日付と確認先を見積の備考に書く。
- 価格に幅がある部品は、協定の前にアジャスターに伝えておく。
国産車も含めた部品価格の調べ方は板金見積の部品価格の調べ方で、データ検索サービスのCariseの使いどころも含めて解説しています。
輸入車に対応した板金見積システムの公式記載
輸入車の見積を見積システムで扱えるかは、メーカーごとに対応の形が違います。公式サイトで確認できた範囲では、コグニビジョンのアセスプロⅡが輸入車、トラック、二輪車に対応した見積システムです(メーカーは「国内唯一」と説明)。全国技術アジャスター協会のページによると、アセスプロⅡは2002年5月にリリースされ、自研センター作成の指数と全国大型自動車整備工場協議会作成の工数を収録しています。コグニビジョンは年6回(4月、5月、7月、10月、11月、翌年1月)最新の車種データを提供するとしています。ブロードリーフのBK.NS3は、外車指数をオプションで使えるほか、高張力鋼板やアルミパネル、樹脂素材などの新素材部分を色分け表示するオプションがあります。ジョーシン・シャックスのEIMSⅢ(見積システム)は2t以上の貨物車、EIMSⅣはトラックの事故見積を対象にしたシステムで、輸入乗用車への対応は公式サイトで確認できませんでした。
| メーカーと製品 | 輸入車に関する公式記載 | 補足 |
|---|---|---|
| コグニビジョン アセスプロⅡ | 輸入車、トラック、二輪車に対応。類似車種の指数や工数を参考値としてコピーできる | コグニセブンと一緒に導入すると単独購入より手頃な価格になると記載 |
| コグニビジョン コグニセブン | 国産車向け。指数ヘルプのみ掲載の車種(一部輸入車を含む)は〔汎用〕車種で見積可能(FAQ) | 汎用では部品価格と部品番号を手入力 |
| ブロードリーフ BK.NS3 | 外車指数が使用可能(オプション) | 新素材の色分け表示もオプション |
| ジョーシン・シャックス EIMSⅢ/EIMSⅣ | 輸入乗用車への対応は公式サイトで確認できず | 2t以上の貨物車、トラックの事故見積が対象 |
動作環境も導入前の確認項目です。アセスプロⅡの公式ページでは、Windows11 64bit、メモリ8GB以上などが挙げられています。製品ごとの詳しい紹介や費用の考え方は、姉妹サイトの板金見積ソフト診断で扱っています。
輸入車の見積を受けるかどうかの判断と社内の準備
輸入車の板金見積を継続して受けるなら、作業時間の根拠と部品の確認先を社内で決めておくことが、システム選びより先に必要な準備です。年に数台しか入らない工場なら、国産車向けの見積システムに加えて、類似車種の指数を参照する方法と部品商への確認で回せる場合もあります。輸入車の入庫が多い工場では、輸入車に対応した見積システムやオプションを入れて、毎回の調べ物の時間を減らす効果が大きくなります。どちらにしても、ミッチェル日本語版のような外部資料を使うなら版を揃えておく、自社で工数を登録するなら出どころを記録する、部品の確認先を車両メーカーごとに決めておく、といった運用の決まりがあると、担当者が替わっても見積の質が落ちません。輸入車の板金は、作業に入ってから想定外の部品交換が見つかることもあります。追加の見積をどのタイミングで出すかを、受付時にお客様と保険会社に伝えておくと安心です。
見積の根拠を一枚にまとめる
参照した車種、使った指数や工数の出どころ、部品の確認先と確認日を、見積書とは別の作業メモに一枚でまとめておくと、協定や追加見積のときにすぐ出せます。板金見積システムの備考欄や添付機能で見積データと一緒に保存しておくと、探す手間もかかりません。
板金見積システム選びを、専門家に無料で相談
輸入車の入庫が増えてきて、今の見積システムで足りるか迷っている工場は、専門家に無料でご相談ください。輸入車の台数や保険修理の比率、今お使いのシステムをお知らせいただければ、合う構成をご提案します。
よくある質問
- 輸入車にも自研センターの指数はありますか?
- 一部の輸入車にはあります。自研センターは主要な国産車と輸入車の構造調査や修理作業の実態調査を行っており、プロトリオスが運営するBSRwebのQ&Aでも「一部の輸入車については、指数テーブルに標準作業指数が設定されています」と回答されています。指数のない車種もあるため、見積を始める前に、使っている板金見積システムで車種が選べるかを確かめてください。
- 指数のない輸入車は、どうやって作業時間を出せばよいですか?
- BSRwebのQ&Aでは、基本的には同クラスの国産車の作業指数を参考にし、米国ミッチェル社の日本語版を参考にする方法もあると回答されています。アセスプロⅡには類似車種の指数や工数を参考値としてコピーする機能と、指数や工数のない輸入車にユーザー独自の工数を登録する機能があります。どの方法で作業時間を出したかを見積に残しておくと、協定で説明しやすくなります。
- コグニセブンで輸入車の見積は作れますか?
- コグニセブンは公式サイトで国産車向けの事故車修理見積りシステムと説明されています。コグニビジョンのFAQでは、指数が収録されている輸入車について〔汎用〕車種を使って見積を作る方法が案内されていますが、汎用データは一般的な部品名称の表示になるため、部品価格と部品番号は手入力です。輸入車の件数が多い工場は、輸入車やトラック、二輪車に対応したアセスプロⅡを合わせて検討します。
- 輸入車の部品価格はどこで確認しますか?
- BSRwebのQ&Aでは、輸入車の部品価格はバラツキが大きいため、部品商などに確認するよう回答されています。アセスプロⅡはアジャスターパーツガイドの部品図を画面上に表示しますが、見積に載せる価格は、発注予定の取引先で確認した価格と照らし合わせてから確定させるのが安全です。
- ジョーシン・シャックスのEIMSは輸入車用ですか?
- ジョーシン・シャックスの公式サイトでは、EIMSⅢ(見積システム)は2t以上の貨物車のキャブ、シャシ、フレーム、ボデーなどのデータを掲載したシステム、EIMSⅣはトラックの事故見積システムと説明されています。輸入乗用車への対応は公式サイトで確認できなかったため、検討する場合はメーカーに問い合わせてください。
- 板金見積と整備・車両販売の管理は、まとめてシステム化できますか?
- 板金見積ソフトで作った見積は、請求・入金・顧客管理と別に管理すると二重入力が増えます。自動車整備システム(自動車整備ソフト)や車両販売システム(車販ソフト)と連携できるかを確認しておくと、見積から請求までを1か所で扱えます。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるかも確かめてください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月5日確認)。製品の機能や収録範囲は変わることがあるため、導入の前に各メーカーに確認してください。
- 株式会社自研センター 指数とは:https://jikencenter.co.jp/research/index/whats/
- コグニビジョン株式会社 アセスプロⅡ:https://www.cognivision.jp/product/acespro/
- コグニビジョン株式会社 コグニセブン:https://www.cognivision.jp/product/cogniseven/
- コグニビジョン株式会社 FAQ【車種選択】指数が収録されている輸入車の見積書を作成する方法はありますか?:https://www.cognivision.jp/support/faq/cogniseven/post-44/
- 全国技術アジャスター協会 アセスプロII:http://www.zengikyo.gr.jp/commodity/acespro2.html
- 株式会社ブロードリーフ 自動車鈑金見積ネットワークシステム BK.NS3:https://www.broadleaf.co.jp/products/auto/bkns/
- 株式会社ブロードリーフ 輸入車鈑金見積りガイドブック「ミッチェル日本語版」取扱い開始(2018年3月31日):https://support.broadleaf.co.jp/bl_support/information/infodetail.html?id=20180331103
- BSRweb(株式会社プロトリオス)輸入車等、見積りデータが手に入らない車ってどうする?:https://bsrweb.jp/qa/detail.php?id=0036
- 株式会社ジョーシン・シャックス EIMSⅢ見積:https://www.joshinshax.com/system/eims3m/index.html
- 株式会社ジョーシン・シャックス EIMSⅣ:https://www.joshinshax.com/system/eims4/index.html
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